アレクサンドル・デュマ『モンテ・クリスト伯』

「神さまは、すべての人にたいして、お前にたいしてとおなじように慈悲ぶかくおいでになる。主は、裁き手でおいでになるよりさきに、まず父でおいでになる。」
「では、あなたさまは、神さまををお信じになっておいでですか?」と、カドルッスが言った。
「たとい、不幸今日までお信じ申していなかったにしても、お前を見たらいやでも、信じないではいられまい。」
カドルッスは、こぶしを握りしめると、空へ向かってふりかざした。

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カミュ『ペスト』

「ところで、さっきの返事をうかがってませんが。あなたはよく考えてごらんになりましたか?」

 タルーは肘掛椅子のなかでちょっとくつろいだ姿勢になり、頭を明りのなかへ突き出した。

「神を信じていますか、あなたは?」

 質問はまた自然な調子でなされた。しかし今度は、リウーはちょっとためらった。

「信じていません。しかし、それはいったいどういうことか。私は暗夜のなかにいる。そうしてそのなかでなんとかしてはっきり見きわめようと努めているのです。もうとっくの昔に、私はそんなことを別に変ったことだとは思わなくなっていたのですがね」

 

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